腕時計の電池交換には、意外なトラブルに遭遇する可能性が潜んでいます。
トラブルが起こる可能性は自分で電池交換を行ったときほど大きくなるのはもちろん、時計修理専門店に依頼した場合でも起こることがあります。
こういったトラブルは起こってしまってから慌てて対処するよりも、あらかじめどういったトラブルが起こる可能性があるのかを知っておくことで、落ち着いて適切な対処ができるでしょう。
では具体的にどのようなトラブルが発生する可能性があり、どのように予防や対処を行えば良いかをご紹介いたします。
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自分で電池交換を行うときの裏蓋開閉トラブル
自分で電池交換を行った場合には、多くのトラブルが起こる可能性がありますが、その中でも特に多いのが裏蓋の開閉トラブルです。
裏蓋を開けることに手間取ることもありますが、何とか開けられたとしても閉めるときの困難さを考えていない人が多いことが原因でもあります。
裏蓋には種類があり、それぞれ開閉方法も異なってきます。
ネジで裏蓋を固定しているタイプは比較的開閉は簡単ではありますが、ネジが固くて回せないことがありますので注意が必要です。
力任せに回してしまうとネジ山を潰してしまう恐れがありますので、慎重に少しずつ回していきましょう。
また、ネジは場所によって種類や長さが異なることもありますので、どこに、どのネジが付いていたかがわかるように外していくことがトラブル回避につながります。
こじあけ式の裏蓋の場合は、閉めるときに指の力だけでは閉められないことがあります。
専用のハンマーで軽くたたくことも一つの手段ですが、それでも難しい場合は無理せず裏蓋閉め機という専用の工具を使用して閉めるようにしましょう。
自分で行う電池交換と防水機能低下の関係について
自分で電池交換を行う場合にあらかじめ覚悟しておかなければならないことは、防水機能の低下です。
腕時計の防水機能は日常生活防水や日常生活強化防水、飽和潜水防水などがありますが、自分で裏蓋の開閉を行った場合に対処できるのは、日常生活防水程度であると考えておきましょう。
それ以上の防水機能を持っている時計の場合、自分で裏蓋を開閉してしまうと日常生活防水レベルまで機能が低下してしまうことは、あらかじめ理解しておく必要があります。
高度な防水機能には防水検査が必要になってきますので、そういった時計は専用の機材を所有している時計修理専門店やメーカーに依頼するようにしましょう。
電池の使用推奨期限を守る
電池には使用推奨期限というものが存在します。
この期限を過ぎてから電池を使い始めますと、トラブルを引き起こす可能性が高まります。
具体的には、電池寿命や液漏れなどです。
新品の電池だと思って電池交換しても、使用推奨期限を過ぎたものだと寿命が短くなってしまう可能性があります。
また、古くなった電池は液漏れを起こす可能性も高くなりますので、その点にも注意が必要です。
長期間保管していた電池を使用する場合は、未使用の電池だとしても使用推奨期限をよく確認してから使用するようにしましょう。
電池の品質にも注意が必要
電池と一言でいっても、さまざまなメーカーから多くの種類が販売されています。
国内メーカーの正規品であれば基本的には品質に問題はありませんが、正規品を装った模造品には注意が必要です。
模造品は格安で出回っていることが多く、一見見分けがつきにくいですが、商品説明をよく確認するとおかしな表記があるはずですので、そこで判別可能です。
このような模造品を使用しますと、正規品と比べ極端に電池寿命が短くなったり、液漏れの危険性が高まったりします。
液漏れを起こして修理が必要になりますと、いくら電池を格安で購入できても結果的に出費は大きくなってしまうので本末転倒です。
極端に値下げされているような商品を見つけた場合は、よく確認してから購入するようにしましょう。
電池交換とメーカー保証について
自分で電池交換を行うのであれば、メーカー保証が受けられなくなることをあらかじめ理解しておく必要があります。
メーカー保証は基本的にメーカー以外で分解したことのある商品は、対象外となってしまいます。
自分で電池交換を行うのであれば、途中でトラブルが起こっても有償での修理となることを覚悟しておかなければなりません。
知識や技術のない人が行う電池交換では、トラブルが起こる可能性は十分に考えられるため、本来は時計修理専門店などに依頼することをお勧めしますが、自分で行うのであればメーカー保証期間中のものは特に慎重な判断をするようにしましょう。
電池を誤飲したときの対処
自分で電池交換をする場合に注意したいのが、電池の誤飲です。
大人が電池を誤飲することは考えにくいのですが、乳幼児となると可能性はあります。
腕時計にも使われる小さなボタン電池を、乳幼児が誤飲してしまう事故は決して珍しくありません。
ボタン電池を飲み込んでしまいますと、短時間での化学やけどや粘膜組織の貫通などを引き起こす可能性があり、死亡事故につながる場合もあります。
小さなお子さんがいる家庭で電池交換をする場合は、電池の取り扱いには十分に注意し、万が一誤飲してしまった場合は、早急に医師に相談するようにしましょう。
こういった危険な事故を回避するという意味でも、電池交換を自身で行うことはお勧めできません。
修理店で時計に傷をつけられた場合の対処
多くの人は腕時計の電池交換を時計修理店などに依頼することになりますが、専門店に預けたからといって完全に安心できるとは限りません。
もちろん時計修理のプロなのでトラブルを起こす可能性は低いですが、それでもまれにトラブルは起こります。
極端に硬い裏蓋を開けるときに傷つけてしまったり、ネジがさびていて折れてしまったりといったことが起こる可能性は考えられます。
そういったことがあった場合にきちんとした対応を取ってもらえるよう、預ける側も注意しておくことが必要です。
時計を修理で預ける際には、預かり証をきちんと交付してもらうようにしましょう。
預かり証はその時計を預けたという証明になりますので、万が一店舗での修理による故障や紛失があった場合に大切なものとなります。
また、預ける際にはそのときの時計の状態をよく確認してから、預けるようにすることをお勧めします。
預けた時計が戻ってきたときに傷がついていたとしても、それが自分でつけた傷なのかお店側がつけた傷なのか判断できないといった事態を避けるためです。
店舗側が傷をつけてしまった場合などには、その分の修繕費は損害賠償可能なのでしっかりと店舗に対応してもらいましょう。
電池交換を断られる時計とは
腕時計の電池交換が可能なお店でも、時計の種類によっては電池交換を断られてしまう時計があります。
多くの時計修理専門店ではほとんどの時計の電池交換が可能ですが、ホームセンターや小さな修理店では、特殊な裏蓋の時計や防水時計の電池交換は対応しておらず、断られることもあるのです。
ホームセンターでの電池交換は、熟練の技術者がいないことがほとんどですので、特殊な時計は技術的に対応できません。
小さな修理店では、防水テストを行う機材を所有していないお店も多いことが理由で、高性能な防水時計の電池交換はお断りされることがあります。
時計修理専門店でもダイバーズウォッチに関しては対応が難しく、基本的にはメーカー対応となります。
ただしメーカーだからといって何でも対応してもらえるわけではなく、メーカーの純正品以外の部品を使っていたりする場合は、対応してもらえないケースもあるので注意が必要です。
まとめ
時計に起こるトラブルはさまざまで、電池交換だけでも多くのケースが考えられます。
トラブルを回避するためには、まず所有している時計の特徴をよく理解することから始め、電池交換などの分解作業は自分では行わないことが大切になってきます。
時計の調子が悪くなったときも、きちんとした時計修理専門店に預ければ多くのトラブルは回避できます。
トラブルが起こってから考えるのではなく、常に予防を意識することが大切なことだといえるでしょう。