SIHH 2019 ジャガー・ルクルトの集大成

SIHH 2019 ジャガー・ルクルトの集大成

2019年のSIHHにおいても、多彩な新作を通してムーブメント、外装の全方位に渡る高い技術力を大いにアピールしたジャガー・ルクルト。
中でもひときわ注目を集めた『マスター・グランド・トラディション・ジャイロトゥールビヨン・ウエストミンスター・パーペチュアル』は、時計ファンを自負する方であればその名を聞いただけで、どれだけ複雑な時計かをうかがい知ることができるでしょう。
しかもジャガー・ルクルトはサイズ、機能の両方に妥協することなく、このコンプリケーションに実用性を付与しています。
ここではその脅威のメカニズムの概要について触れてみましょう。

SIHH 2019のジャガー・ルクルト

スイス屈指のマニュファクチュールとして、卓越した技術力で時計業界に大いなる貢献を続けるジャガー・ルクルト。

2019年のSIHHにおいても、『マスター・グランド・トラディション・ジャイロトゥールビヨン・ウエストミンスター・パーペチュアル』という、いかにもジャガー・ルクルトらしい圧倒的ハイコンプリケーションをはじめ、エナメルダイヤルをフィーチャーしたマスターウルトラスリムや、レディースのジュエリーウォッチ、ダズリング・ランデブー、微妙な温度変化を利用して駆動するクロック、アトモス・トランスパレントに至るまで、多彩な新作を繰り出し、会場を大いに沸かせました。

ここではそんな新作の中から、ジャガー・ルクルトの歴史上最も複雑な時計といわれるこのモデルをご紹介します。

マスター・グランド・トラディション・ジャイロトゥールビヨン・ウエストミンスター・パーペチュアル

時計ファンを自負される方なら、名前を聞いただけでこの時計がどれだけ複雑な時計か、想像がつくことでしょう。

このモデル名のうち、「ジャイロトゥールビヨン・ウエストミンスター・パーペチュアル」の部分がこのモデルが搭載する複雑機構を表していますが、その一つ一つについて、簡単に触れてみましょう。

ジャイロトゥールビヨン

ジャガー・ルクルトが2004年に発表した多軸トゥールビヨン。

トゥールビヨンとは、機械式時計の心臓部であるテンプをゲージ(カゴ)に乗せ、ゲージを一定の速度で回転させることによって、時計の姿勢の変化に伴う、重力のかかる方向の変化によって発生する誤差を相殺することで精度安定性をより高める機能を持つ時計のことです。
懐中時計の時代にかのアブラアン・ルイ・ブレゲによって発明されたとされるもの。

しかし手首に装着される腕時計は、懐中時計よりも多彩な姿勢を取ることが想定される上に、姿勢変化の頻度も高いため、従来のゲージの二次元上での回転だけでは不十分と考えられます。

そこでゲージの回転軸を従来の1本から2本に増やし、それぞれの軸に対して発生する回転の速度を異なるものとすることで、ゲージの回転を三次元的なものとして、あらゆる姿勢に対してその影響を相殺できるように考案されたのが多軸トゥールビヨン、すなわちジャイロトゥールビヨンです。

ここに繰り返すまでもなく、二次元のトゥールビヨンでも十分に複雑なものとなりますが、このジャイロトゥールビヨンの製造にははるかに高度な技術が必要となります。

またトゥールビヨンでは主ゼンマイが発生するトルクによって単にテンプを振動させるだけでなく、テンプを収めたゲージを回転させる必要があり、さらにジャイロトゥールビヨンにおいては、ゲージを複数の方向に同時に回転させる必要があります。

そのために主ゼンマイには単にテンプを振動させるだけの時計よりも、高いトルクを安定して出力することが求められます。このモデルではこれを実現するために、ゼンマイがいっぱいに巻き上がった状態から、ゼンマイが解けて時計を駆動させるためのトルクを失うまでの間、テンプやゲージに伝わる力を安定させるためのコンスタントフォース機構も組み込まれています。

ウエストミンスター(ウエストミンスターチャイム)

ウエストミンスター(ウエストミンスターチャイム)

ロンドンにあるウエストミンスター宮殿の時計台、ビッグベンが15分ごとに奏でる4つのメロディーを転用して、音で時間を知らせるミニッツリピーター機能です。

4つの音階を使って表現されるそのメロディーは、1時間単位、15分単位、1分単位の順に演奏されますが、15分単位のメロディーが不要な時間にミニッツリピーターを起動した場合、1時間単位のメロディーに続いて1分単位のメロディーを打ち始める、サイレントタイム・リダクションも備えています。

有名なメモヴォックスをはじめとして、音を発する機能にただならぬこだわりを持ち続けるジャガー・ルクルトならではの優れた音響効果によって、澄んだ音色と十分な音量を実現しています。

さらに驚くべきことに、このウエストミンスターチャイム機能のために、分針をステップ運針としており、分が切り替わる寸前にミニッツリピーターが起動された際にも誤差が発生しないシステムを持っています。

パーペチュアル(パーペチュアル・カレンダー)

大の月、小の月はもちろん、2月やうるう年までもがプログラムされ、月の切り替わりを自動で表示可能な機能がパーペチュアルカレンダーであり、動かし続けている限り、理論上は100年に一度しか修正の必要がないカレンダー機構です。

一般的なパーペチュアルカレンダーは、カレンダーの修正禁止時間帯が複雑かつ厳格に定められていたり、逆回転の修正ができなかったり、さらには操作を誤って故障してしまったりと、とっつきにくいイメージが強いですが、このモデルでは修正禁止時間帯がなく、かつ逆戻しも可能という、利便性の高いもの。

さらには6時に配置されたキャリッジを避けて、16日と17日の間だけポインターデイト針がジャンプすることで、キャリッジの回転の鑑賞を妨げない仕組みを持っている点も特筆すべきでしょう。

十分に実用可能な超複雑時計

十分に実用可能な超複雑時計

以上の機能を全て実現するメカニズムは、途方もなく複雑なものであり、実際にそのムーブメント、キャリバー184は1050点に上る部品から成り立っているものです。

しかしマニュファクチュール・ジャガー・ルクルトは、これだけのものを直径43ミリ、厚さ14ミリのラウンドケースに収めることを可能としたのです。

その価格は約1億円といいますが、ムーブメントに組み込まれた数多くのトラブル防止システムや5気圧防水などとともに、十分に実用可能な時計として仕上げたその執念と技術力には、ただただ圧倒されるほかありません。

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