SIHH 2019 IWCの新しいパイロットウォッチ スピットファイアコレクション
2019年のSIHHにおいてIWCは、パイロットウォッチ・スピットファイアの全面刷新を発表。今回の刷新によって全てのモデルに自社製ムーブメントが搭載されました。
マーク12に始まったパイロットウォッチコレクションの3針モデル、そしてフリーガークロノグラフに始まったクロノグラフへの自社製ムーブメント搭載は今回が初。ファンの夢がまた1つかなえられた、との表現も決して大げさではないでしょう。
ここではそんな新しいスピットファイアについて、触れてみたいと思います。
新しいスピットファイア・コレクション
IWCのパイロットウォッチ、スピットファイアが全面刷新されました。
今回登場したのはデュアルタイム機能付きモデル、パイロットクロノグラフ、三針モデルのそれぞれのブロンズバージョンとスチールバージョン、そして永久カレンダーを搭載したブロンズ製のビッグパイロットウォッチを加えた合計7種類。
ブロンズモデルはグリーンのダイヤルにブラウンのカーフストラップ、スチールモデルはブラックダイヤルにグリーンのファブリックストラップという組み合わせで統一されています。
またスピットファイアコレクションといえば、かつてはアプライドのアラビア数字インデックスの採用や、近年ではスレートグレーのダイヤルの採用などといった、外観の特徴を持っていましたが、今回の刷新によって文字盤のデザインは1948年に登場し、現在のマークシリーズの原点となっている軍用のマークXIを範とする、パイロットウォッチのメインストリームのデザインがそのまま採用されている点も注目すべきでしょう。
しかし何よりIWCのファンにとって喜ばしいのは、その全がマニュファクチュールムーブメントを搭載し、より優れた精度とロングパワーリザーブを持つようになったことでしょう。
パイロットウォッチ オートマティック スピットファイア
その中でも特に注目すべきは三針のモデルです。
1994年のマークXIIに始まり、今年で25年目を迎えるパイロットウォッチのベーシックモデルが、今回初めてインハウスムーブメント搭載機となったのです。
古くからのファンにとってはこんなにも喜ばしいことはないでしょう。
このキャリバー32110は、IWCとヴァル・フルリエとの共同開発によって生まれ、IWCの社内にて組み立て、調整が行われており、歴史あるIWCの自社製ムーブメントらしい耐久性と信頼性を備えるもの。
ガンギ車とアンクルをIWCとして初となる素材、シリコンに置き換えることによって、耐久性と脱進機の効率を高め、従来どおりの28,800振動/時を維持しながら、72時間のパワーリザーブを実現。
ぺラトン式自動巻きの採用は今回は見送られましたが、ぺラトン式と同様の爪でゼンマイを巻きあげる両方向きの巻き上げ式を採用しており、巻き上げ効率にも優れているといいます。
先述のとおり今回はスチールモデルRef.IW326801に加えて、ブロンズモデルのRef.IW326802も加えられており、ケース径39ミリ、ケース厚10.8ミリに抑えながらも、伝統の軟鉄製インナーケースを持ち、6気圧防水を備えています。
文字盤上6時位置の “SPITFIRE” のロゴも良いアクセントとなっており、現代的に、かつ本質的に見直しが図られたこの新しいスピットファイアは、今後IWCのパイロットウォッチコレクションの基準機となることでしょう。
GMT機能付きの限定モデル2種
また今回250本の限定で登場したパイロットウォッチ タイムゾーナ― スピットファイア ロンゲストフライト、そして271本の限定で登場したパイロットウォッチ UTC スピットファイア MJ271には、ともにぺラトン式自動巻き機構を採用し、60時間のパワーリザーブを誇るキャリバー82000系のムーブメントを採用しています。
パイロットウォッチ タイムゾーナ― スピットファイア ロンゲストフライト、Ref.395501は直径46ミリ、厚さ15.2ミリのスチール製ケースに、回転ベゼルと連動するタイムゾーナ―機構を付加したキャリバー。
2019年8月18日に予定されている、スピットファイアによる世界一周旅行のために作られたスペシャルピースです。
方やパイロットウォッチ UTC スピットファイア MJ271Ref.327101は、直径41ミリ、厚さ14.2ミリのブロンズケース採用の限定モデル。
1990年代のパイロットウォッチ UTCのスタイルをよみがえらせたキャリバー82710を搭載しており、リューズによる短針の単独修正機能によって、第二時間帯の設定が可能です。
自社製ムーブメントへのシフトについて
キャリバー32000系、69000系を得て、これまでのエッタやセリタをベースとするムーブメントを使用する理由がほぼなくなったといえるIWC。
これはIWCが所属するリシュモングループが推し進める、独立性維持のための施策の一環ととることもできるでしょう。
当然のことながら自社製ムーブメントの利点ばかりを強調する各メゾンですが、意匠、機能ともに個性を打ち出しやすい反面、故障の際はメーカーサービスに頼らざるを得なくなる自社製ムーブメントは、本当の意味で顧客にメリットをもたらすものなのでしょうか。
今まで以上にアフターサービスまで含めたブランドの総合力が問われる時代が、やってくるかも知れません。
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