ジュネーブサロン 2019のエルメス テーマは月と地球

ジュネーブサロン 2019のエルメス テーマは月と地球

スリム ド エルメスが非常に高い評価を得てからというもの、このメゾンにかかる期待はますます大きくなっているように感じます。
そして2019年のSIHHにおいても、エルメス得意のエスプリの利いた、周囲の意表を突くコンプリケーションで、その奥深い世界を披露してみせました。

アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ

廃棄寸前の三角形のプレート型の太陽電池を2万480枚もの太陽電池をつなぎ合わせて作った大きな球体という、不思議なインスタレーションで自らのブースを飾った2019年のエルメス。

そんなエルメスが2019年のSIHHに用意していたハイライトは、アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌと名付けられた新作でした。

複雑機構を秘めたシンプルな外観

複雑機構を秘めたシンプルな外観

外観はアルソーのアイコニックな上下非対称のラグを持つ43ミリ径のピュアなラウンドケースに、ダイヤルから浮き上がった2つのインダイヤルが特徴的な、少し不思議な雰囲気を持ちながらもシンプルなものです。
しかしその実はムーンディスクではなく、影の部分が動くことで月の満ち欠けを表現するという、ダブルムーンフェイズを特徴とするコンプリケーションであったのです。

すなわち満天の星空のように輝くアヴェンチュリンの文字盤の12時位置と6時位置に2つのマザーオブパールで表現された月を置き、その上で2つの丸いインダイヤルを59日間で1周のぺースで回すことによって、南半球と北半球の月の満ち欠けを表現するという、通常とは逆の発想を文字盤の全体を使って大胆に取り入れたもの。

その2つのホワイトラッカ―で仕上げられたインダイヤルは一方に時分表示、そしてもう一方にデイト表示が乗っており、これらは常に水平の状態を保ちながら回り続ける、すなわちインダイヤル自体も回転するという、さりげなくも複雑な機構を持っています。

ムーブメントサプライヤー、クロノードとのコラボレーション

このルトゥール ドゥ ラ リュンヌのためのムーブメントを開発したのは、独創的機構の開発で実績を持つクロノードというムーブメントメーカーでした。

エルメスからの月をテーマにした作品を、とのリクエストに応えるべく、この逆転の発想によるムーンフェイズを提案したといいます。

午前0時にまずデイト表示がジャンプし、午前2時30分から午前3時の間に2つのインダイヤルが回転する、すなわちムーンフェイズが動く仕組みを持っており、これらの動きを同時にしなかったのは、作動時の時計の精度に対する悪影響を配慮してのこと。

実際にこのカレンダー、ムーンフェイズ作動時の、動力の分散によるテンプの振り角落ちは通常時より20%台のマイナスに収まっているといいます。

2種類のバリエーションを用意

2種類のバリエーションを用意

そんなアルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ、バリエーションとしてアヴェンチュリンのかわりにメテオライトを、そしてホワイトラッカーのインダイヤルの代わりに表面を荒らしたグレーのインダイヤルを備えるモデルが同時に紹介されており、各100本限定で発売の予定です。

スマートな「発想の転換」

ブースに飾られた大きな球体のインスタレーション。これは地球を表現しているといいますが、月をテーマにした時計を紹介するにあたり、月そのものではなく、月に影を落とす方の地球の方を飾ってみせる。その逆転の発想はまさにこの新作の発想とリンクするものでるばかりでなく、こういった逆転の発想そのものを、エルメスならではのエスプリと感じさせるその手腕には、今回も脱帽するしかない思いです。

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