杉本貞光の生涯のテーマは「桃山に帰れ」|世界各地で幅広く活躍
杉本貞光は、東京に生まれ世界で活躍する陶芸家です。桃山時代の名品を手本として、多くの名品を生み出してきました。今回は、作家自身が強く意識するこだわりとともに作品の特徴などをご紹介します。
東京に生誕し、活動の場は世界へ
杉本杉田貞光は、東京出身の陶芸家です。33歳のとき窯を築くと茶陶つくりを開始し、1974年から大徳寺で立花大亀老師の指導を受けつつ国内外を問わず幅広く活動を展開します。
1935年に東京で生まれた貞光は、1968年に信楽山中で穴窯をつくり茶の湯で使う陶器「茶陶」の作品づくりを手がけ始めました。1974年からは、先述の大徳寺・立花大亀老師による指導も受けています。
1991年にアメリカでの初個展を開いた地は、ニューヨーク・ロックフェラーセンター・ギャラリーゼロです。その2年後には、ドイツでの初個展をミュンヘン・ギャラリーフレッドハーンスタジオにて催します。
さまざまに活動するなか、名品の数々はアメリカのエール大学美術館や滋賀県立陶芸の森陶芸館に収蔵されました。
こだわりのテーマは「桃山に帰れ」
杉本杉田貞光が、生涯のテーマとして心がけた言葉は「桃山に帰れ」です。この言葉は立花大亀老師より「「常に桃山を見ろ、桃山に変えれ」と言われていた」」と杉本貞光本人が口にしており、最もこのことにこだわりながら、今も多くの名品を生み出しています。
作品づくりで手本としたのは、桃山時代の名陶たちです。これには、信楽、伊賀、楽、高麗や美濃など当時の名だたる焼物が含まれます。それぞれについての研究とともに、作品制作は続けられました。
実際には、1979年の伊賀の茶陶研究制作や1981年の長次郎風黒茶碗と光悦風赤茶碗の研究制作などが知られています。また2006年には、伊賀焼専用の穴窯も築きました。
これらの長きにわたる努力がは実を結び、最近は杉本杉田貞光から「ようやく古作と比べられるような作品が生み出せるようになったのかなと感じています」との声が聞かれます。
長年の努力が生み出した名品
杉本杉田貞光が作品づくりにかけた長年の努力は、多くの名品を生み出しました。
貞光自身が秀作に選んだ作品をいくつか挙げると、「香吹茶碗」「織部志野茶碗」「青瓷茶碗」「井戸茶碗」や「信楽茶碗」があります。いずれも、日々の修練がの生かされたといえる一品です。
香吹茶碗は、観音菩薩の塑像制作で釉薬を研究しているとき頭に浮かんだ新しい手法が用いられたと説明されています。織部志野は桃山時代に見られず、志野釉をかけ焼いてから織部釉もかけ仕上げた作品です。
どちらも古作の特徴とともに新たな魅力があり、趣深さや面白味が感じられ目を引きます。
そのほかも含め、杉本杉田貞光の作品には伝統的な美しさのなかに個性があふれ魅力的です。茶道具の買取では高評価を見込めるので、売却予定があれば当店までご連絡ください。