岩木秀斎の茶道具とは?|京指物の名工・岩木家の歴代略歴も解説
茶の湯指物を語る上で欠かせないのが、京都屈指の指物師である「岩木秀斎(いわきしゅうさい)」です。生前は指物師の兄とともに、昭和天皇の御大典什器を謹制謹製するなど、多数の作品と功績を残しています。今回は、そんな岩木家の歴代略歴や、岩木秀斎の代表作についてご紹介します。
岩木家の歴代略歴
明治43年、京都を中心に活躍していた指物師「岩木裕軒」の三男として生を受けた岩木秀斎。同氏について掘り下げる前に、明治初期から続く岩木家の歴代略歴をお話します。
茶道具の名匠「11代 駒沢利斎(こまざわりさい) 」に師事した、岩木裕軒。「裕軒」の号は、神光院(現:京都府京都市)の智満門主より賜ったものです。京都屈指の指物師として活躍し、大正天皇の御大典に使う「高御座御椅子」などを制作しました。
晩年、岩木裕軒は「裕軒」の号を自身の長男に授けます。「裕軒2代」は父と同じく、昭和天皇の御大典什器などを制作。それに携わったのが、弟である「裕軒3代」、岩木秀斎です。
岩木秀斎(初代)の代表作は?
「裕軒3代」は、京都の茶人である「14代 千宗室 (せんそうしつ)」から“秀斎”の号を授かります。以降、同氏は岩木秀斎と名乗ります。
他界する2006年まで、伝統的ありながら独自の作風をいかした作品を多数考案。「幟鯉香合」と名付けた淡々斎好(たんたんさいざごこのみ)、「松面皮 四方盆」などの作品があります。
近代茶道界の名工・岩木秀斎(2代)の代表作
岩木秀斎の他界後、父に師事していた息子「裕軒4代」が「秀斎」の号を襲名します。「秀斎2代」は父同様、指物を中心にさまざまな茶道具を制作。「京都御所」を連想させる「佳辰棚(かしんだな)」、木目が美しい杉を使った「萩透腰風炉先(はぎすかしこしふろさき)」などが代表作です。
さらには、重厚な松の木目が目を引く「行李蓋莨盆(こうりふたたばこぼん)」、樹齢150年の杉を使った「松皮葛屋香合(まつかわくずやこうごう)」などの作品も手がけました。その1点1点から、岩木家が代々培ってきた技術力の高さ、指物師としての誇りを感じます。
2021年現在、岩木家の遺伝子は「秀斎2代」の長男である「岩木秀樹」に引き継がれています。「岩木秀樹」もまた、近代茶道界の名工として名をはせています。
岩木秀斎の茶道具は「なんぼや」が高価買取
依然として人気の高い、岩木秀斎(裕軒3代・4代)の茶道具。とりわけ「裕軒3代」の作品は現存数が少なく、その希少性の高さから、高値で取引されています。岩木秀斎の茶道具をお持ちなら、ぜひ「なんぼや」にお持ちください。