銀の代表的な産出国|日本の銀山も紹介
銀は古くから人類にとって重要な貴金属として価値が認められ、特に産出国や銀の採掘の歴史は、世界経済にも大きな影響を与えてきました。多くの方が、どの国が銀の主要な産出国であるのか、日本はどうであったか興味を持っておられるでしょう。この記事では、世界最大の銀産出国であるメキシコをはじめ、日本など他の国々の銀産出について詳しく解説します。
銀の主要産出国
銀はさまざまな国で産出されていますが、特に、メキシコ、中国、ペルーが主要な産出国です。2020年の銀の生産量ではメキシコが5,541トン、中国が3,378トン、ペルーが2,772トンを産出しています。
また、Silver Instituteのデータによると、2021年の世界全体の鉱山からの銀の生産量は約8億2300万オンス(約25,600トン)で、このうちメキシコ、中国、ペルーのトップ3国は合計で世界の約半分の量を占めています。
また、USGS(アメリカ地質調査所)によると、2020年時点でペルーは世界最大の銀埋蔵国とされ、埋蔵量は12万トンにも上ります。
今後の銀市場においてもペルーの役割は大きいと言えるでしょう。
メキシコ、中国、ペルー以外の銀の産出国には、以下の国々が続きます。
ポーランド
チリ
ロシア
ボリビア
オーストラリア
アメリカ
アルゼンチン
これらの国々は世界の銀市場において、今後も世界経済において重要な役割を果たすと考えられています。
参考:USGS、Silver Institute
世界最大の銀産出国・メキシコ
メキシコは、16世紀から続く豊かな銀の歴史を持つ世界最大の産出国です。
その歴史は、スペインの植民地時代にさかのぼります。
当時、スペインは南米のポトシ銀山で大規模な銀の採掘を行い、ここから産出される銀はスペイン銀貨としてヨーロッパに輸出されました。また、スペインはメキシコのアカプルコとフィリピンのマニラを結ぶガレオン貿易を行い、メキシコ産の銀をアジアの貿易で使用しました。メキシコ銀は世界経済において大きな役割を果たし、18世紀にはアジアの基軸通貨としての地位を確立しています。
また、メキシコ国内では、グアナファト、タスコ、サカテカスなどの鉱山の町が誕生し、銀は教会やコロニアル建築の装飾にも用いられ、現在でもその豪華な建物が観光の目玉となっています。特にグアナファトは、1546年に銀鉱脈が発見されて以来、歴史的な建物が数多く残り、その美しい街並みは今でも多くの観光客の注目の的です。
このような歴史的な街並みは、「銀の道」として知られるルートに含まれており、メキシコシティを起点に、数々の世界遺産を巡ることができます。
メキシコシティとその周辺には7つ、中央高原北西部には10つ、オアハカには2つの世界遺産があり、メキシコは銀の歴史と切り離すことはできません。長い歴史を持つメキシコの銀産業は、文化的遺産とともに、今後も世界中の人々を魅了し続けるでしょう。
日本でも銀が産出されていた?
日本における銀の産出は、実は中世時代から活発に行われていました。しかし、時代が進むにつれて、日本の銀産業は衰退を始めます。ここでは、中世からの銀産出と、日本の銀産出の最盛期と衰退を詳しく解説します。
中世からの銀産出
日本の銀産出は、中国の銀産出量が減少していた15世紀ごろから本格化し、日本の銀は中国市場に注目されるようになりました。特に、中国から伝わった灰吹き法という精錬技術の導入により、日本の銀生産性は大幅に向上しています。
石見銀山(島根県)、生野銀山(兵庫県)、院内銀山(秋田県)など、日本各地で銀山が開発され、銀の採掘活動が活発化しました。これらの銀山では、高品質な銀が生産され、国内外の需要を満たす役割を果たしています。
日本の銀は、特に品質の高さで知られ、中国をはじめとする国際市場で高く評価されました。当時の日本は、銀生産においてアジア地域の主要な拠点となり、国際貿易において重要な役割を担っていたことで有名です。
最盛期と衰退
17世紀初頭には、日本産の銀が世界の生産量の約3分の1から4分の1を占め、最盛期を迎えていたとされています。ところが、16世紀後半からスペインによる新大陸、特にポトシ銀山(現在のボリビア)やメキシコの銀山の開発が進み、世界の銀市場における日本の地位は次第に競合の影響を受け始めました。
その結果、日本の銀産業は徐々に衰退の道をたどり、国際市場での競争力を失っていきました。これに伴って国内の銀山の閉山や生産量の減少が進んだというのが、日本の銀産業の衰退の経緯です。
日本の銀産業の衰退は、国際市場の変動と新たな競合の出現がもたらした、自然な経済の変化の一例であると言えるでしょう。
銀鉱山以外からも銀を採取できる?
銀は鉱山だけでなく、リサイクルを通じても採取が可能です。
不要になった貴金属製品や電子機器から銀を回収し、新たな使い道に活用することができるため、貴金属回収業者は、不用品を集め、溶解・精製して地銀を再生産します。2020年3月時点での銀の買取価格は1gあたり数十円程度で、金に比べれば低価格ですが、大量に集めれば意外な収入源ともなるでしょう。
銀が使用されたリサイクル品には、電子機器や家電製品が含まれており、例えば、1台の携帯電話には約0.26gの銀が含まれており、ノートパソコンでは約0.84gが使用されています。日本の場合、国立研究開発法人によると、リサイクル品から採取可能な銀の量は約60,000トンに達すると推定されています。
この数値は日本における銀のリサイクルポテンシャルの高さを示しており、持続可能な資源活用の観点において重要です。また、電子機器や家電製品の廃棄量は近年増え続けているため、銀の効率的な回収が今後の持続可能な資源利用の課題となるでしょう。
このように、銀鉱山以外のソースから銀を採取することは、環境に配慮した持続可能な資源活用の視点からも注目されています。
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