銀の「純度」と「硬度」の関係とは?スターリングシルバーと925の違いも知ろう
貴金属を使ったジュエリーのなかでも、手軽でお手頃な価格帯の商品が多く普段使いされることが多いシルバー。その多くは耐久性の高さや加工のしやすさから、ほかの金属を配合して硬度を高めた銀合金が使われています。
この記事では純度によって異なる銀の種類と硬度、それぞれの特徴に加え、輝きを保つためのお手入れ方法をご紹介します。
銀の「純度」「価値」「硬度」の相関関係
銀は純度が高いほど価値は高く、硬度は低い特徴があります。とくに千分率で999‰(パーミル)の純度をもつ純銀は非常に衝撃に弱く、日常生活でも容易に変形することから、アクセサリーには不向きな素材といわれています。
「ビッカース硬度(Hv)」は、ダイヤモンドの真四角錘の頂点を一定圧力で押し付けたときのくぼみで測定する方法のこと。1920年代にイギリスのビッカース社に所属していたロバート・L・スミスとジョージ・E・サンドランドによって開発されました。
もう一つの「モース硬度(mohs)」は、1812年にドイツの地質学者であり鉱物学者のフリードリッヒ・モースが考案したひっかき硬度の尺度で、物同士がぶつかったときに破損する度合いを数値化したものです。いずれも、硬度が高くなるほど数字が大きくなります。
金属のビッカース硬度(Hv)
金属 | ビッカース硬度(Hv) |
---|---|
純銀 | 25~100 |
シルバー925 | 70~150 |
純金 | 25~70 |
K18イエローゴールド | 120~250 |
純プラチナ | 50~110 |
Pt900 | 60~130 |
金属のモース硬度(mohs)
金属 | モース硬度(mohs) |
---|---|
金 | 2.5 |
<b>銀 | 2.7 |
クロム | 9 |
鉄 | 4.5 |
銅 | 3 |
白金 | 4.3 |
ちなみに人の指の爪はモース硬度で測定するとおよそ2mohsとなり、銀は貴金属のなかでも非常に軟らかく金とほぼ同じ硬度しかありません。
そのため、アクセサリーにはほかの金属(割り金)を配合し、硬度を高めた合金が使われます。
アクセサリーにある「SILVER」の刻印は純度925以上を示す
銀合金はJIS規格上、品位(銀含有率)の違いにより、925、835、800の3種類に分けられます。ISO(国際標準化機構)、造幣局、CIBJO(国際貴金属宝飾品連盟)においてもそれぞれ5種類ずつ品位区分がありますが、いずれも銀の純度を千分率で表示。つまり「925」の銀はどの団体においても「925‰(92.5%)」の純度をもつ銀を意味します。
また、銀の純度は刻印によって知ることができます。指輪の内側やネックレスの留め金等を確認してみましょう。「一般社団法人日本ジュエリー協会」では、銀素材の表記を「SV、Silver、SILVER」の文字と品位を併記することと定めています。ただし例外があり、品位がない「SV」「Silver」「SILVER」のみの表示は純度925‰以上のアクセサリーに限定されています。
【銀の刻印】
素材 | 刻印 |
---|---|
Ag(銀)925 | SV925、Silver925、SILVER925 |
ピンクシルバー(Cu) | Silver580(Cu)、SILVER580PS |
イエローシルバー(Au) | Silver450(Au)、SILVER450YS |
スターリングシルバーとシルバー925の違い
「シルバー925」とは純度925‰、つまり銀92 .5%に対し、割り金7.5%の銀合金のこと。配合する金属は銅のほか、鉛、アルミニウム、ニッケルなど特定されていません。一方、「スターリングシルバー」は銀の含有量は同じ92 .5%ですが、残り7.5%の割り金に銅のみを使った銀合金のことをさします。刻印は「Sterling」または「Sterling925」。
一般的に「スターリングシルバー」のほうが金属アレルギーを起こしにくく、色も明るめで、高値がつきやすい傾向にあります。
いずれも扱いやすく、品質も高いことから、ティファニーなどハイブランドのメーカーも「シルバー925」「スターリングシルバー」を使うことが多いようです。
その他のシルバー
「一般社団法人日本ジュエリー協会」が定める「スターリングシルバー」以外に固有名詞のある代表的な銀合金をご紹介します。
純度958‰ ブリタニアシルバー
銀の含有率95.8%という高純度の銀で、1697~1720年頃のイギリスでは銀貨鋳造の法定品位とされていました。くすみにくく、美しく神々しい光を放ちます。アンティーク製品、食器、芸術品に多く使われています。
純度900‰ コインシルバー
古いコインや貨幣に用いられていた銀合金です。以前はインディアンジュエリー(ネイティブアメリカンによるハンドメイドの装飾品) の材料として使われていました。
純度835‰ ダッチシルバー
オランダ製の銀で、細工の凝ったアンティークジュエリーによく見られます。昔からアムステルダムはダイヤモンドの加工地として知られるところで、シルバーにダイヤモンドをあしらったデザインが多く、華やかに輝く宝石といぶし銀の風合いが独特で味わいがあります。
やわらかく傷つきやすい銀のお手入れ
シルバーアクセサリーを、いつまでも美しい状態でキープするには、こまめなお手入れが大切です。日頃のメンテナンスの方法と保管の仕方をご紹介します。
やわらかい布で拭き取りを
汗や皮脂、ほこりは大敵です。使用後は水でよくすすいで軽く水気を切り、きめの細かいやわらかい布で拭き取ってください。くれぐれも傷がつかないように、やさしく扱うことがポイントです。
シルバーアクセサリー専用保管袋を活用
保管時はできるだけ空気にふれないよう工夫しましょう。変色を防ぐ作用のあるシルバーアクセサリー専用保管袋はおすすめです。水洗いしたあと十分に乾燥させてから収納してください。
ひどい汚れはクリーナーを
黒ずみがひどいときは、専用のクリーナーを利用しましょう。短時間で購入当初の美しい光沢がよみがえります。
【短時間でピカピカになる銀専用タイプ別クリーナー】
- 布製のシルバー専用クリーナー/微粒子の研磨剤が含まれていて黒ずみを除去
- 液状タイプのシルバー専用クリーナー/液体に浸けるだけで輝きが復活
- ポリッシュタイプのシルバー専用クリーナー/表面の傷を削り、光沢を取り戻す
出番が減ってきたら思い切って売却
先述したとおり、銀は傷つきやすく、硫化して黒ずみやすい特徴があります。ジュエリーボックスの中にしまったままでも変色の恐れがあるため、出番が減ってきたら、売却を検討するのもいいでしょう。
査定前には十分なお手入れを
高額買取を狙うなら、やはり見ためが大切です。もちろん、日頃からメンテナンスして美しさをキープしておくことが重要ですが、買取店に持ち込む前にもう一度点検して、汚れ、ほこり、黒ずみなどをきれいに落とし、ベストな状態で査定してもらいましょう。
付属品に付加価値が付くことも
シルバーアクセサリーに限らず、ブランド品や高額商品の場合は専用ケースや証明書などに付加価値が付くことがあります。購入時に捨ててしまわず、大切に保管しておきましょう。査定の際、その付属品も一緒に持ち込むと、思いもよらない価格アップにつながることもあります。
買取店の実績をチェック
買取店は、その価値を正しく査定できる実績のあるお店をおすすめします。基本的にはその日の「相場×重量」で査定額が決まりますが、ブランドもの、デザイン性に優れたものについては、価格が上乗せされることもあります。
まとめ
銀は純度が高いほど高額になる傾向がありますが、その逆に硬度は低く、アクセサリーとしては扱いにくい部類に入ります。そのためシルバーアクセサリーには傷つきにくい銀合金が使われることがほとんどです。特に銀の含有量92.5%の「シルバー925」「スターリングシルバー」は、ハイブランドも採用している高品質な製品として高い人気を誇ります。
銀はその日の相場によって価格が変動しますが、人気ブランドやコレクターに人気のアイテムなど、付加価値によっても金額が変わります。シルバーアクセサリーの買い取りなら、銀製品の買取実績が豊富な「なんぼや」へご相談ください。