金相場と円・ドル為替相場との相関関係

金相場で資本を投下して利益を生むには、貨幣市場の動向を的確に判断する「目利き」が重要なポイントとなります。日本人が金市場で金を買う際には円の対ドル相場によって利幅が大きく異なってくるからです。
金相場をこれから始めるビギナーにとっては、現時点で円高ドル安なのか、それとも円安ドル高なのかを見極めることが必要です。
金の国際相場に最も影響力がある貨幣はいうまでもなく米ドルです。したがって、日本人が円で金を購入する際には、海外のドル建て金相場と日本円と米ドルの為替レートの両者が最重要ファクターということになるのです。
それでは為替レートの変動が金市場で金を買う際にどのような影響を及ぼすかという点を分析してみましょう。
おおまかにいうと「金が買われることは米ドルが売られる」ことを意味し、逆に「金が売られると米ドルが買われる」ことになります。したがって、金の価格上昇はドル安を招き、金の価格が下落することはドル高を意味すると考えてよいでしょう。つまり、金という金融商品の価格を決定する最も大きなファクターは金と米ドルとの需要・供給の関係ということになります。
そして国際通貨として機能している米ドルが売られ、為替レートが円高ドル安となると、日本国内の金市場において円で買う場合に有利となります。
日本では長く続いた円高ドル安の時代が2012年後半からのアベノミクスによる量的緩和政策によって円安ドル高に転換したことから、2012年は1グラム3,000円代で購入できたのが、その翌年の2013年には5,000円代弱に上昇しています。円とドルとの為替レートの重要性がこれでよく分かるでしょう。
日本経済は1990年代から2010年代にかけて長く円高不況に苦しみました。そしてようやく2013年に円安ドル高となって長い不況のトンネルに少し明かりがさしてきたというのが現状です。
円高によって日本経済が沈滞していた時期には、日本の金市場には投機マネーがかなり流れており、金の価値も上昇を続けました。日本各地で金を扱う業者による「金の買取」が活性化したのも、このような金市場の状況が続いていたからです。
金相場の動向においては国際情勢の変化も重要な要因となりますので、これがすべてというわけではありませんが、日本における金相場はドル建てで公表される国際価格と、その時点での円・ドルの為替相場との相関関係によって購入価格が決定されているということになるのです。